
小さな会社の採用が失敗する理由とは?家族経営工務店が即効で人材確保に成功した求人票の書き方
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「求人を出しても全然応募が来ない…」 「大手には条件で勝てないから仕方ない…」
そんな風に諦めていませんか?
実は、小さな会社が採用に苦戦する理由は、条件の良し悪しよりも求人票の書き方に致命的な間違いがあるケースが多いのです。
今回は、社員わずか4人の家族経営工務店が、求人票を改善しただけで即座に採用成功した実例をご紹介します。この事例から学べる「小さな会社の採用成功法則」を詳しく解説していきます。
【実例】社員4人の工務店が抱えていた深刻な採用課題
業績好調なのに人が集まらない矛盾
ある家族経営の工務店は、社長、事務員、職人、営業の4人体制で運営されていました。規模は小さいものの、お客様からの評判は非常によく、業績は右肩上がり。
当然、仕事量が増えれば人手が必要になります。
しかし、求人を出してもまったく応募が来ない状況が続いていました。
大手に負けるのは条件だけではなかった
「うちは小さいから、大手の条件には勝てない」 「無名だから仕方ない」
経営者はそう考えていましたが、実は条件や知名度以上に致命的な間違いを犯していたのです。
小さな会社が陥る典型的な罠:「スーパーマン募集」の落とし穴
なぜ中小企業は「何でもできる人」を求めてしまうのか
小さな会社ほど、多能工、つまり何でもできるスタッフを欲しがります。
この工務店の場合、求人内容は「営業もできて大工もできる職人募集」というものでした。
会社側の気持ちは理解できます。少人数だからこそ:
- 大工仕事もしてほしい
- お客様対応もしてほしい
- 営業活動もしてほしい
すべてをこなせる人材がいれば、効率的に業務が回ります。
「そんな人、本当にいますか?」という現実
しかし、冷静に考えてみてください。
営業もできて、大工仕事もできる人材は、どれくらい存在するでしょうか?
職人気質の大工は、基本的に黙々と技術を磨くタイプが多く、「営業なんて知るか」という人も少なくありません。一方、営業職の人は、のこぎりを使って木材を切るスキルは持っていません。
両方のスキルを持つ人材は極めて希少です。仮にそんな人がいたとしても、すでに独立して自分で会社を経営している可能性が高いでしょう。
理想を詰め込みすぎると「応募ゼロ」になる理由
「こういうこともできる人」 「こういう経験もある人」 「こういう資格も持っている人」 「こういう考え方の人」
求人票に理想を詰め込めば詰め込むほど、該当する人材は減っていきます。
結果として、「そんな完璧な人はいない」→「応募が来ない」という悪循環に陥るのです。
採用成功の転換点:「絶対条件」と「価値観」を分けて考える
まず決めるべきは「絶対に譲れない条件」
その経営者へのアドバイスとして提案されたのは、次の質問でした。
「営業と大工、どちらか一方しか採用できないとしたら、どちらが欲しいですか?」
経営者の答えは明確でした。
「大工です。営業は最悪、私がすべて対応できます。でも、どんなに仕事を取っても現場が回らなければ意味がない。だから現場を優先したい」
ここで初めて、本当に必要なスキルが明確になりました。
プラスアルファは「スキル」ではなく「価値観」で求める
次のステップは、将来的に営業的な対応もしてもらえる可能性を残すことです。
しかし、ここで「営業もできる大工」と書いてしまっては、元の木阿弥です。
そこで提案したのが、こんな求人票でした:
「お客様の笑顔を見るのに何よりもやりがいを感じる大工さん募集」
なぜ「価値観」を入れると採用がうまくいくのか
この表現の意図は明確です。
単に「大工募集」とすると、技術一辺倒の職人ばかりが応募してきます。そうすると、将来的に「お客様対応をお願いできますか?」と頼んでも、「は? なんで俺がやらなきゃいけないの? 社長がやってよ」と言われてしまう可能性が高いのです。
一方、大工の中にも一定数、次のような価値観を持つ人がいます:
- 自分が建てた家にお客様が住んでいる様子を想像するのが好き
- お客様の笑顔を見ると嬉しい
- 自分の仕事がお客様の暮らしにどう役立っているか知りたい
こうした価値観を持つ大工であれば、まずは職人として採用し、現場で信頼関係を築いた後に、こんな提案ができます:
「◯◯さん、いつもお客様からの評判がいいですね。本当にありがとう。実は相談なんだけど、今度の見学会で、私たちがどんな思いを込めて家を作っているか、お客様に案内してもらえないかな?」
お客様との関わりが好きな大工であれば、「それなら、やってみようかな」となる確率は格段に高まります。
求人票改善後の結果:即座に採用成功!
「お客様の笑顔が好きな大工」で募集したらすぐに採用できた
この求人票に変更したところ、すぐに応募が来て採用に成功しました。
しかも、採用した人材は:
- 大工としての技術は確かである
- お客様対応にも前向きである
- 将来的に営業的な役割も担える可能性が高い
まさに理想的な人材を確保できたのです。
「スーパーマン」ではなく「育てられる人材」を採用する
この事例の成功ポイントは、最初からすべてを求めないことです。
- 絶対に必要なスキル:大工としての技術
- 将来的に期待すること:お客様対応
- そのために見るべき指標:価値観(お客様の笑顔が好き)
このように整理することで、現実的に存在する人材にリーチでき、なおかつ将来性も見込める採用が実現しました。
小さな会社が採用成功するための3つの鉄則
鉄則1:理想の人物像を作り込みすぎない
「あれもこれもできる人」を求めると、該当者がいなくなります。
完璧な人材は存在しないという前提で、現実的な求人を作りましょう。
鉄則2:「絶対に譲れない条件」を1つに絞る
優先順位をつけて、最も重要なスキルや経験を1つに絞ります。
- 営業スキル
- 技術スキル
- 業界経験
- 資格
どれが本当に必要なのか、妥協できないのはどこかを明確にしましょう。
鉄則3:プラスアルファは「価値観」で求める
スキルや経験の上乗せではなく、価値観や考え方で追加条件を設定します。
例えば:
- 「お客様の笑顔が好き」
- 「チームで働くのが好き」
- 「学ぶことが好き」
- 「丁寧な仕事にこだわる」
価値観が合う人材は、スキルは後から育てられます。逆に、スキルがあっても価値観が合わない人材は、長続きしません。
他の業種でも応用できる!求人票の書き方テンプレート
飲食店の場合
❌ NG例:「調理も接客もできて、SNS運用もできる人募集」
✅ OK例:「お客様の『おいしい!』の一言が何よりの喜びになる調理スタッフ募集」
IT企業の場合
❌ NG例:「フロントエンドもバックエンドもできて、デザインもできるエンジニア募集」
✅ OK例:「ユーザーの使いやすさを第一に考えられるフロントエンドエンジニア募集」
小売店の場合
❌ NG例:「販売も在庫管理も発注も経理もできる人募集」
✅ OK例:「お客様との会話が好きで、ニーズを引き出すのが得意な販売スタッフ募集」
まとめ:小さな会社の採用は「絞る」ことが成功の鍵
小さな会社が採用に苦戦する最大の理由は、「何でもできるスーパーマン」を求めてしまうことです。
しかし、そんな完璧な人材は:
- そもそも存在しない
- 仮にいても、すでに独立している
- 自社の条件では採用できない
だからこそ、発想を転換しましょう。
採用成功の公式:
- 絶対に譲れない条件を1つに絞る
- 追加で求めることはスキルではなく価値観で設定する
- 将来的に育成できる人材を採用する
この考え方で求人票を作り直せば、社員4人の小さな工務店でも即座に採用できた実例があります。
あなたの会社でも、ぜひ今日から実践してみてください。
「完璧な人材」ではなく、「一緒に成長できる人材」を見つけることが、小さな会社の採用成功の秘訣です。
貴社の採用でも取り入れてみてください。お問合せはこちら