スナックなのに本格ラーメンが食べられる、という意外性が口コミとSNSで広がり夜の売上も伸びた実例から、ギャップ作りで集客する方法を解説。中小企業の経営者が今日から実践できる話題作りの3ステップと注意点を紹介します。

ギャップ作りで集客する方法

なぜスナックの「昼ラーメン」が話題に?ギャップ作りで売上を伸ばす集客術

「ギャップ作り」と聞くと難しいテクニックに思えるかもしれませんが、実はあるスナックが昼間だけラーメン屋を始めたところ、ラーメンの売上だけでなく夜のスナックの売上まで伸びたという面白い事例があります。広告費をかけずに口コミとSNSで話題が広がった理由は、たった一つ。お店の「当たり前」を裏切る意外性、つまりギャップがあったからです。この記事では、この事例を手がかりに、中小企業の経営者や個人事業主が今日から実践できるギャップ作りの考え方と、口コミを依頼する際に知っておきたい注意点まで解説します。

この記事でわかること

  • スナックの「昼ラーメン」がなぜ話題になったのか、その理由
  • ひとつの施策が複数の売上(ラーメン・夜の来店)を伸ばした仕組み
  • SNS時代に「ギャップ」が強い武器になる理由
  • 自分のビジネスでギャップを作るための3つのステップ
  • 口コミを依頼するときに注意すべき法律上のポイント

「スナックで昼ラーメン」が話題になった理由

事例として紹介するのは、ある夜営業のスナックが、昼の時間帯にラーメン店を始めたケースです。結果として、ラーメンの売上が新たに積み上がっただけでなく、もともとのスナックの夜の売上も伸びたという、一見不思議な現象が起きました。この章では、なぜこの取り組みが話題になったのかを整理します。

常連客の口コミが最初の起爆剤に

話題作りの起点になったのは、スナックの常連客への声かけでした。「昼にラーメン屋を始めるので、味の感想を口コミに書いてほしい」とお願いし、常連客が実際に投稿してくれたのです。身近な人に最初の感想を依頼するという、特別な予算がかからないシンプルな一手が、話題作りの第一歩になっています。

ギャップが生む「意外性」の正体

外観も内装も「ただのスナック」に見えるお店で、本格的なラーメンが食べられる。この組み合わせ自体が、人の興味を引く「ギャップ」です。普通のラーメン屋が美味しいラーメンを出すのは当たり前のことで、話題にはなりにくいですが、「スナックなのに本格的」という予想とのズレがあるからこそ、見た人が「気になる」「食べてみたい」と感じます。当たり前を裏切る要素があるかどうかが、話題になるかどうかの分かれ目です。

ポイント:ギャップは「強ければ強いほど」話題にしやすくなります。見た目と実態の差が大きいほど、人の記憶に残りやすく、口コミやSNS投稿のきっかけになります。

ラーメンだけでなく夜の売上も伸びた仕組み

この事例で特に注目したいのは、ラーメンという新メニューの売上だけでなく、本業であるスナックの夜の来店も増えたという副産物です。なぜ一つの施策が、二つの売上に効果を及ぼしたのでしょうか。

新規客がスナックに興味を持つ流れ

Googleマップなどでお店を見つけた人の中には、「スナックが気になっていたけれど入りにくかった」という層がいます。そうした人が「ラーメンもやっているんだ」と知ることで、まずはラーメン目的で来店し、お店の雰囲気を知るきっかけになります。ラーメンという日常的に入りやすいメニューが、スナックへの心理的な入り口(フロントエンド)の役割を果たした形です。

スナック未経験者がラーメン目的で来店するケース

もう一つの流れは、これまでスナックに行ったことがない人が、ラーメン目的で初めて店内に入るケースです。ラーメンを食べに来た流れで、ママさんとの会話を楽しんだり、店内の雰囲気に触れたりすることで、「今度は夜に来てみようか」という気持ちが生まれます。新しいメニューが、既存事業への送客経路にもなっているのが、この事例のポイントです。

なぜ「ギャップ」はSNS時代に強いのか

このようなギャップ作りは、SNSが集客に大きな影響を持つ今の時代だからこそ、特に効果を発揮しやすい考え方です。

UGC(口コミ・投稿)が広告費をかけずに広がる

UGC(User Generated Content/ユーザーが自発的に作る投稿)は、お店側が広告費を払わなくても、利用客の自発的な発信によって情報が広がっていく点が大きな魅力です。中小企業庁の事例集でも、SNS上の口コミや報道などによる「アーンドメディア」を活用した新規集客の取り組みが紹介されており、広告費をかけずに認知を広げる手段として注目されています。ギャップのある体験は「これは誰かに教えたい」という気持ちを起こしやすく、UGCが生まれる土台になります。

「当たり前」を裏切る要素が記憶に残る

たとえば、強面で見た目が強そうな人が、実はとても柔らかい声で話す。怖そうな人が見た目通りに怖いのは当たり前ですが、見た目とのギャップがあると強く印象に残ります。お店づくりも同じで、「普通であること」は安心材料にはなりますが、話題には直結しません。期待を少しだけ裏切る要素を意図的に作ることが、記憶に残るきっかけになります。

自分のビジネスでギャップを作る3つのステップ

ここからは、この考え方を自分の店舗・事業に落とし込むための、具体的な3つのステップを紹介します。

1

自社の「当たり前」を書き出す

お客さんが自分の業種・お店に対して持っているイメージ(見た目・業態・価格帯など)を、まずは紙に書き出してみます。「夜のお店」「年配向け」「安い」など、世間が抱いている前提を客観的に把握することが出発点です。

2

意外性のある要素を1つ追加する

書き出した「当たり前」に対して、わざと外れる要素を1つだけ加えます。今回の事例なら「夜のスナック」に「昼の本格ラーメン」を組み合わせたことがこれにあたります。要素を増やしすぎるとお店の軸がぼやけるため、まずは1つに絞るのがコツです。

3

常連・知人に最初の口コミを依頼する

新しい取り組みを始めたら、まずは関係性のある常連客や知人に体験してもらい、感想を口コミとして書いてもらえないか相談します。最初の「種」となる口コミが、その後の話題の広がり方を左右します。

ギャップ作りの注意点

効果が見えやすい手法だからこそ、やり方を間違えると逆効果になることもあります。実践する前に、次の3点は必ず押さえておきましょう。

1本業の質を落とさない:新しい施策に注力するあまり、本業であるスナックの接客やサービスの質が下がってしまうと、せっかく増えた新規客が定着しません。新しい取り組みは、あくまで本業を活かすための「入り口」と位置づけることが大切です。

2ギャップは「本物」でないと逆効果:見た目だけのギャップで、実際の味やサービスが伴っていなければ、来店した人の期待を裏切り、悪い口コミにつながってしまいます。ギャップの「中身」にもしっかり力を入れることが前提条件です。

3口コミ依頼の伝え方に注意する:常連客や知人に感想を依頼する際は、「良い評価を書いてほしい」と内容を指定したり、見返りに割引や金品を条件にしたりすると、景品表示法上のステルスマーケティング規制に触れる可能性があります。消費者庁の説明によれば、規制の対象になるのは表示内容を事業者が決定したと判断される場合で、実際に利用した人へ「よろしければ感想を教えてください」と依頼する程度であれば問題にならないとされています。あくまで「実際に体験した正直な感想」を依頼する姿勢を徹底しましょう。

他業種のギャップ事例から学ぶ

ギャップ作りという考え方は、業種を問わず応用できます。たとえば、ある歯科医院では待合室の床をガラス張りにし、その下に本格的な鉄道模型のジオラマを走らせる仕組みを取り入れています。「歯医者なのに本格的なジオラマが見られる」という意外性が、子ども連れの家族から支持される理由になっていると言われています。同じように、「タバコ屋なのに本格的なカレーが食べられる」というような組み合わせも、業態と提供内容のギャップによって話題になりやすい例として挙げられます(※イメージ)。自分の業種における「当たり前」が何かを考え、そこから少しだけ外れる要素を探してみると、応用のヒントが見つかるはずです。

まとめ:ギャップ作りで話題を生み、口コミで広げる

  • 「当たり前」とのズレが大きいほど、人の記憶に残り話題になりやすい
  • 新しい取り組みは、既存事業への送客経路にもなり得る
  • SNS時代はUGC(自発的な口コミ・投稿)が広告費の節約につながる
  • ギャップを作る前に、自社の「当たり前」を書き出すことから始める
  • 本業の質を落とさず、ギャップの「中身」にも力を入れる
  • 口コミ依頼は、内容を指定せず「正直な感想」をお願いする形にする

お問合せはこちら