中小企業オーナーのための実践マーケティング
会員1000人突破の秘密は?ワイン専門店に学ぶサブスク成功のコツ
月額6500円のワインの定期便で、会員数1000人を突破した専門店があります。決して大きなチェーン店ではなく、街の一角にあるワイン専門の酒屋さんです。なぜ、この価格帯でここまで支持されたのでしょうか。実はそこには、業種を問わず使えるサブスク成功のコツが隠れています。今回は、この酒屋さんの商品設計から、自社の定期購入・会員制ビジネスに応用できるヒントを紐解いていきます。
この記事でわかること
- 月6500円のワインサブスクが会員1000人を達成できた理由
- 商品そのものより重要な「オファー設計」の考え方
- 「レア軸」を他業種に応用する発想法
- 自社の定期便ビジネスに落とし込む3つのステップと注意点
月6500円のワインサブスク、1000人達成の中身とは
今回取り上げるのは、ワインを専門に扱う、いわゆる街の酒屋さんです。全国チェーンのような規模ではなく、地域に根ざした一軒のお店です。このお店が始めたサブスクリプションサービスは、月額6500円でワインが2本届くというシンプルなもの。しかし、このサービスの会員数が1000人を突破しました。
月6500円という価格は、決して安い金額ではありません。それでもこれだけの会員数を集められた背景には、価格や商品そのものではない、別の勝因があります。
なぜ売れた?勝因は「商品」より「オファー設計」
このサブスクが選ばれた理由は、単に「毎月ワインが2本届く」というサービス内容ではありません。届くワインの「中身」に、他にはない工夫が凝らされていたことがポイントです。
ポイント:ワインという商品そのものより、「毎月何が届くかわからないワクワク感」と「ここでしか手に入らない」という商品の設計が、購入の決め手になっています。
レアなワインを毎月届けられる理由
この酒屋さんのオーナーは、もともと日本各地の酒蔵と個人的なつながりを持っていた方でした。この人脈の強さが、他のワイン専門店にはない仕入れルートを可能にしています。
大手にはない、酒蔵とのパーソナルなつながり
酒蔵には規模の大きなところもあれば、小規模な家族経営のところもあります。オーナーは、こうした小さな酒蔵とも直接つながりを持っていたため、通常の流通ルートには乗らないワインを仕入れることができたのです。
「ここでしか」「年に◯本だけ」という希少性
実際に届けられるのは、全国流通していないワイン、ネットで購入できないワイン、その地域でしか販売されていないワイン、年間の製造本数が限られているワインなど、いずれも「ここでしか出会えない」ものばかりです。毎月2本、こうしたレアなワインを厳選して届けるというサービス設計こそが、ワイン好きの心をつかんだ理由といえます。
中小企業庁が運営する支援サイト「J-Net21」でも、サブスクリプションを継続的に選んでもらうには、競合の商品・サービスの利点はカバーしつつも独自性を打ち出すことがポイントとして紹介されています。(参考:J-Net21「第22回:サブスクリプション編」)
「レア軸」は業種を選ばない、他ジャンルでも使える発想法
この「レアなものを厳選して届ける」という発想は、ワインに限った話ではありません。「その分野を知り尽くした人が、毎月ベストな1点を選んで届けてくれる」というオファーは、どんな業種でも魅力的な商品設計になり得ます。
例1:プラモデル・模型店なら
たとえば模型店であれば、「日本では流通していない海外の限定プラモデルを、毎月1点セレクトしてお届け」というサービスも考えられます。マニアであるほど、自分では出会えない一点に価値を感じるものです。
例2:音楽・カルチャー系の店舗なら
音楽であれば、「その月にデビューしたバンドの中から、ジャンルを知り尽くした店主が選ぶ一番の一枚を届ける」というサービスも同じ構造です。世の中に情報があふれているからこそ、「選び抜いてくれる誰か」の存在に価値が生まれます。
自社のサブスク・定期便に応用する3つのステップ
この考え方を自社のビジネスに落とし込むには、以下の3つのステップで整理すると進めやすくなります。
自社だけの「仕入れルート・情報源」を棚卸しする
長年の付き合いのある仕入先、独自のネットワーク、業界内でしか知り得ない情報など、自社が持っている「他社にはまねできない出会い方」を洗い出してみましょう。
「レアさ」を一言で言語化し、オファーに落とし込む
「ここでしか」「年に◯本だけ」「知り尽くした目利きが選ぶ」など、レアさが一目で伝わる言葉に置き換えます。この言語化が、商品説明やSNS発信の軸になります。
毎月「今月の1点」を発信し、期待感を醸成する
届く前から「今月は何が来るんだろう」と思ってもらえるよう、SNSやニュースレターで選定の裏側やこだわりを発信し続けることが、会員の継続にもつながります。
導入する際に気をつけたい注意点
「レアさ」を軸にしたサブスクを設計する際は、以下の点にも配慮しておくと安心です。
レアさを優先するあまり、品質が下がってしまっては本末転倒です。「珍しいけれど質は保証できない」商品は避け、自信を持って届けられるものだけを選びましょう。
仕入れ先が限られていると、供給が不安定になるリスクがあります。信頼できる仕入れルートを複数確保しておくと、会員数が増えたときにも対応しやすくなります。
インターネット上で申込みを受け付ける場合は、契約内容や解約方法などの表示義務にも注意が必要です。(参考:消費者庁「インターネット通販の定期購入トラブルには御注意を!」)
まとめ
- 商品そのものより「オファー設計」で差がつく
- 自社ならではの「レアな仕入れルート・情報源」を棚卸しする
- 「レアさ」を言語化し、毎月の期待感を演出する
- 品質と供給の安定を最優先にする
- 表示義務など法令面の確認も忘れずに



