広告費ゼロで満席に?塾長YouTube発信に学ぶ「選ばれる会社」の作り方
今、新規の生徒募集を一切かけていないにもかかわらず、常に満席の状態が続いている学習塾があります。しかも、この塾は誰もが知る大手フランチャイズに加盟している「普通の1教室」です。その秘密は、派手な広告でもキャンペーンでもなく、塾長個人によるYouTube発信というたった一つの取り組みでした。YouTube発信を軸にした集客の考え方は、塾業界に限った話ではありません。外壁塗装業、治療院、士業など、あらゆる中小企業の経営者にとって、今日から応用できる大きなヒントになります。
この記事でわかること
- なぜ広告費ゼロでも満席の塾が存在するのか
- 塾長個人のYouTube発信、その具体的な中身
- なぜ「発信」がお客様のファン化につながるのか
- 自社の業界でも応用できる具体例
- 今日から始められる発信の3ステップ
なぜ広告費ゼロでも満席の塾があるのか
この塾がある地域では、春や夏の講習シーズンになると、多くの塾が新学期のチラシを配ったり、季節講習の広告を出したりします。ところが、この塾は広告という広告を一切打っていません。それにもかかわらず、「誰かが辞めたら入りたい」という順番待ちのリストが、常にいっぱいの状態が作れているのです。
普通に考えれば、広告を出さなければ新規の申し込みは先細りするはずです。しかし、この塾では逆のことが起きています。その理由は、塾長個人が続けているある取り組みにありました。
塾長個人のYouTube発信、その具体的な中身
この塾長は、YouTubeで自分自身の考えや価値観を継続的に発信し続けています。内容は大きく分けて2つの方向性があります。
受験情報という「専門性」の発信
1つ目は、地域の高校の入試傾向や、今年度の受験情報といった、専門家としての知見を発信する動画です。「この地域でどの高校を目指すなら、どんな対策が必要か」といった、地元の保護者が本当に知りたい情報を、塾長自身の言葉で解説しています。
子育て・親の悩みに寄り添う発信
2つ目は、もっと踏み込んだ内容です。「宿題をやらない子どもに、親はどう接するべきか」「塾に行きたがらない子のモチベーションをどう上げるか」「親が行かせたい高校と、子どもの意思が食い違うとき、何を優先すべきか」――こうした、受験そのものよりも一段深い、子育てや親子関係の悩みに向き合う発信です。教育方針や思想といった、塾長自身の「人となり」が伝わる内容になっています。
なぜ「発信」がお客様のファン化を生むのか
比較検討される時代の意思決定
保護者にとって、塾選びは子どもの進路を左右する大きな決断です。だからこそ、地域名で検索して最初に出てきた塾にそのまま申し込む、ということはまずありません。何件も比較検討し、じっくり選ぶのが普通です。この比較検討の段階で、塾長自身の考え方や教育方針を動画で発信し続けていることが、大きな差別化になっています。
「この人にお願いしたい」という感情が生まれる瞬間
動画を通じて塾長の人柄や教育に対する姿勢に触れた保護者は、比較検討の途中で「この先生にお願いしたい」という感情を持つようになります。これは、料金やカリキュラムといった条件の比較を超えた、指名につながる感情です。結果として、動画とYouTubeを見てすでにファンになっている保護者が、自然と子どもを連れてくるという状態が生まれ、募集をしなくても常に順番待ちができる仕組みが完成しているのです。
中小企業庁の調査からもわかること
中小企業庁「2022年版中小企業白書」によると、ブランドの構築・維持のために取り組んでいる内容として最も回答割合が高かったのは「顧客や社会へのブランドメッセージの発信」でした。さらに、こうした発信に取り組んでいる企業ほど、価格競争に巻き込まれにくく、取引価格の維持・引き上げにつながっているという傾向も示されています。「発信を続けること」は、決して感覚的な話ではなく、データの裏付けもある取り組みだといえます。詳しくは中小企業庁の該当ページをご参照ください。
あなたの業界でも同じ仕組みは作れる
この仕組みは塾業界に限った話ではありません。「人が人を好きになって、この人から買いたい」という状態は、どんな業界でも作ることができます。
外壁塗装業の場合
現場の親方自身が、街を歩きながら「この家の外壁はこういう状態だから、こう直すべき」といった視点を発信する。専門性と人柄の両方が伝わり、見積もり比較の段階で選ばれやすくなります。
治療院の場合
先生自身が「肩こりの本当の原因はこうだ」「この症状にはこういう考え方で向き合っている」といった発信を続けることで、来院前から信頼関係が築かれ、初診のハードルが下がります。
士業・専門サービス業の場合
税理士や社会保険労務士なども同様です。制度の解説だけでなく、「経営者の悩みにどう向き合っているか」という姿勢そのものを発信することで、価格ではなく「この人に相談したい」という理由で選ばれるようになります。
今日から始める、発信の3ステップ
誰に何を伝えるか、を決める
まずは「どんなお客様の、どんな悩みに向き合っているか」を言葉にしてみましょう。専門知識だけでなく、日頃お客様と接する中で感じている考え方や価値観も含めて構いません。
小さく発信を始める
いきなりYouTubeでなくても構いません。ブログやSNS、ニュースレターなど、今すぐ使える手段から始めて、「専門性」と「人柄」の両方が伝わる内容を積み重ねていきましょう。
続けられる仕組みを作る
1回の発信で結果が出るものではありません。月に1本でもいいので、無理なく続けられるペースを決め、地道に積み重ねることが何より大切です。
発信を始める前に知っておきたい注意点
完璧を求めすぎないこと。編集や見た目のクオリティよりも、continue(継続)できるかどうかの方が重要です。
「売り込み」ではなく「情報提供」を意識すること。案内や宣伝ばかりでは、ファンになってもらう前に離れてしまいます。
すぐに結果を求めすぎないこと。ファン化には時間がかかります。焦らず、地道な継続が結果につながります。
まとめ
- 広告費をかけなくても、選ばれ続ける仕組みは作れる
- ポイントは「専門性」と「人柄」の両方を発信すること
- 比較検討の段階でファンになってもらうことが、指名につながる
- 塾業界に限らず、外壁塗装業・治療院・士業など、どんな業界でも応用できる
- 完璧を目指さず、小さく始めて、無理なく続けることが何より大切






